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【2026年版】日本の自動運転最新動向|レベル別の現状とメーカー各社の戦略を比較

日本の自動運転を、運転支援との違い、法制度、トヨタ・ホンダ・日産の公表資料から整理。発売済みの機能、実証、将来計画を区別して比較します。

2026年9月8日訂正:車種の機能区分、法制度、メーカーの計画、走行実績を一次資料で確認し直しました。AccordをLevel 3とした記載、Cruiseの国内開始予定、日産の世代・センサー構成を訂正し、根拠を確認できない市場予測や費用の数値表を削除しました。

日本の自動運転を比較するときは、発売済みの運転支援、条件付きの自動運転、公道実証、将来の開発計画を分ける必要があります。本稿では主要な公表資料を取り上げ、発表日と適用条件を示します。

目次

自動運転レベルの定義

自動運転のレベルは、操舵・加減速・周囲の監視・システムが対応できない場合の役割によって区別されます。SAE J3016はLevel 0から5までの6段階を定義しています。SAEの定義資料

レベル 概要 運転者・システムの役割
Level 0 運転の自動化なし 運転者が運転する
Level 1 操舵または加減速の支援 運転者が周囲を監視する
Level 2 操舵と加減速の両方を支援 運転者が周囲を監視する
Level 3 使用条件内でシステムが運転する 運転者は引継ぎ要求に対応する
Level 4 使用条件内でシステムが運転と必要な対応を行う 条件内では運転者を前提としない
Level 5 人間が運転できるあらゆる道路・環境条件でシステムが運転する 運転者を前提としない

Level 2とLevel 3の決定的な違い

Level 2は運転支援であり、運転者が前方・周囲の状況を確認して安全運転を行うことが前提です。Level 3では、定められた使用条件の下でシステムが運転操作を行いますが、条件を満たさなくなる場合などには、運転者が直ちに確実に運転を引き継ぐ必要があります。ハンドルから手を離せる機能があるだけで、Level 3になるわけではありません。警察庁の運転支援・自動運転に関する説明

日本の法制度

法改正と公表資料の経緯

時期 制度・文書 内容・一次資料
2020年4月施行 改正道路交通法の自動運転関係規定 Level 3に対応し、自動運行装置を使用する運転者の義務等を整備。警察庁
2023年4月1日施行 特定自動運行の許可制度 運転者がいないLevel 4に相当する特定自動運行について、都道府県公安委員会の許可制度を創設。警察白書
2025年9月更新 自動運転車の安全確保に関するガイドライン 第2版 主にLevel 4の車両の安全水準に関する国土交通省のガイドライン。国土交通省

法律の施行とガイドラインの公表・更新は異なります。上表のガイドラインを、事故時の民事責任を一律に決める法令として扱うことはできません。

現行の規制ポイント

Level 3の運行条件(日本):

  • 自動運行装置ごとに定められた使用条件を満たす必要があります。
  • 使用条件外となる場合などには、運転者が直ちに確実に運転操作を引き継げる状態を保つ必要があります。
  • 道路・速度・天候などの条件は、対象車両の認可内容と取扱説明書で確認します。すべてのLevel 3車に共通する「時速60km以下」という制度ではありません。警察庁

Level 4の運行条件(日本):

  • 特定自動運行を行うには都道府県公安委員会の許可を受け、許可された特定自動運行計画に従う必要があります。
  • 走行ルート・時間帯・天候などの走行環境条件(ODD)を満たして運行します。
  • 特定自動運行主任者を配置し、事故時の措置などに対応する体制が必要です。主任者が車内に乗車する方式もあり、遠隔監視だけが唯一の方式ではありません。警察庁の許可制度概要

トヨタの戦略

Woven Cityでの実証

トヨタとウーブン・バイ・トヨタは、静岡県裾野市のToyota Woven Cityを2025年9月25日にオフィシャルローンチしました。住民が生活する環境で、移動や物流を含む製品・サービスを試すテストコースです。発表にはe-Paletteを使ったサービスの実証などが含まれます。トヨタの2025年9月25日発表

Waymoとの協業の位置付け

トヨタとWaymoは2025年4月30日、自動運転技術の開発・展開を加速する協業を検討するための基本合意を発表しました。公表段階は戦略的パートナーシップの枠組みであり、その発表だけで一般向けLevel 4車の発売日や国内ロボタクシーの開始日が決まったとは扱えません。トヨタの発表

トヨタの取り組みを見る際には、生活環境での実証、量産車向けの運転支援、協業による開発をそれぞれの進捗として確認する必要があります。

ホンダの戦略

Level 3量産車のパイオニア

ホンダは2021年3月5日、Level 3に適合するトラフィックジャムパイロットを備えた「Honda SENSING Elite」搭載のLegend(レジェンド)を発売しました。発売時の販売計画は限定100台、リース専用で、メーカー希望小売価格は1,100万円でした。Hondaの発売時資料

現在の展開

Legendの自動運転とAccordの運転支援を区別する: 2025年5月30日発売のAccordの追加グレードは「e:HEV Honda SENSING 360+」です。高速道路などで一定条件を満たすとハンズオフで走行を支援しますが、運転者による周囲の確認が必要な運転支援機能です。LegendのLevel 3機能を搭載した「Honda SENSING Elite第2世代」ではありません。HondaのAccord発売資料Honda SENSINGの機能区分

項目 Legend Honda SENSING Elite Accord e:HEV Honda SENSING 360+
対象の機能 Level 3に適合するトラフィックジャムパイロット ハンズオフ機能付高度車線内運転支援など
運転者の役割 使用条件内ではシステムが周囲を監視。操作要求があれば直ちに引き継ぐ 周囲を確認し、安全運転を続ける
発売時の条件 2021年3月発売、限定100台のリース専用 2025年5月発売の追加グレード
発売時の税込希望小売価格 1,100万円 599万9,400円

価格と販売条件はそれぞれの発売時発表です。現在の在庫・販売条件を示すものではありません。

ロボタクシー計画の読み方

GMは2024年12月10日、Cruiseのロボタクシー開発への資金提供を継続せず、個人向け車両の自動運転・運転支援開発へ重点を移すと発表しました。旧来のHonda・GM・Cruiseの協業構想から、東京での「2026年後半の実証開始」「2027年の商用開始」を導くことはできません。GMの方針変更発表

車種の運転支援機能の発売と、運転者のいない配車サービスの事業化は、別の計画として評価します。

日産の戦略

次世代ProPILOTは開発計画として確認する

日産は2025年4月10日、次世代ProPILOTを2027年度から投入する計画を発表しました。公表資料は、次世代LiDARを使うGround Truth Perception技術と、WayveのAI Driverソフトウェアを組み合わせると説明しています。日産の公式発表

この資料は、2026年に「ProPILOT 4.0」をLevel 3機能として発売するという根拠にはなりません。開発名称、予定年度、認可された機能、実際に購入できる車種を分けて確認する必要があります。

LiDARとAIを組み合わせるアプローチ

Ground Truth Perceptionを「LiDARを使わずカメラとレーダーだけで実現する」とする説明は誤りです。上記の日産発表は次世代LiDARの利用を明記しています。センサー構成を比較する場合は、開発試作車の構成と市販車の最終仕様を区別してください。

Honda Accordの運転支援機能の価格と、日産の将来の自動運転計画を同じ発売済みLevel 3車の価格として比較することもできません。

海外メーカー比較

同じ「自動運転」という表現でも、個人向けの運転支援、無人配車サービス、開発方針の転換は異なります。確認できる事実の種類を揃えて比較します。

企業・サービス 確認できる内容 比較時の注意
Tesla FSD (Supervised) 運転者による積極的な監視が必要な運転支援。Tesla公式 名称から無人運転が可能とは判断できない。機能は地域・車両・ソフトウェア等で異なる
Waymo 運転者を乗せない走行の距離と衝突データを公開。Safety Impact 特定地域・条件の実績であり、すべての道路の安全性を示すものではない
GM / Cruise 2024年12月、Cruiseのロボタクシー開発への資金提供停止を発表。GM公式 以前の展開予定を現在の開始予定として扱わない

Waymoの安全データ

2026年9月8日に確認したWaymo Safety Impactは、2026年3月までの運転者なしの走行(rider-only)2億2,060万マイルを集計しています。同じダッシュボードでは、人間の運転の比較基準に対し、重傷以上の衝突が94%少なかったと報告しています。Waymo Safety Impact

これはWaymo自身が公開する集計です。評価対象の都市、走行条件、衝突の重さ、比較基準を揃えて読む必要があります。「すべての事故が94%減る」「日本でも同じ低減率になる」とは解釈できません。

自動運転タクシー

国内では実証と無人営業を区別する

Waymoは日本交通・GOと連携して東京で技術の検証を進めています。2026年9月8日に確認した公式の日本向け説明では、東京の車両は訓練を受けた日本交通の担当者が運転席に乗り、技術を検証する運用とされています。米国の無人配車サービスの実績を、そのまま東京の無人営業の開始として扱うことはできません。Waymoの日本での取り組み

自治体や事業者の発表を読む際は、運行開始日だけでなく次の点を確認します。

  • 運転席に担当者がいる実証か、特定自動運行の許可を受けた運行か。
  • 一般客が利用できるか、実証の参加者に限られるか。
  • 走行ルート・時間帯・天候などの条件は何か。
  • 運休・事故時の現場対応を誰が担うか。

事業化で見積もる費用

車両価格だけでは収支は決まりません。車両の減価償却、監視・現場対応、保守、保険、通信、充電設備、稼働率を含めて試算します。車内の運転者を置かない場合にも、特定自動運行主任者や事故時の措置などの体制が必要です。警察庁の許可制度概要

経営上は、需要が見込める時間帯、運行条件から外れる頻度、1人で対応できる台数などを現地で確認して収支を組みます。全国共通の車両価格による損益分岐点や、一律の黒字化年度は示せません。

物流への影響

自動運転トラックと道路側の支援

経済産業省は2025年2月7日、新東名高速道路の駿河湾沼津SA〜浜松SAで、同年3月3日から深夜時間帯に自動運転車優先レーンを設定し、トラックとインフラの連携を検証すると発表しました。対象はLevel 4自動運転トラックの実現に向けた実証であり、一般の無人商用運行開始と同じ意味ではありません。経済産業省の実証発表

発表では合流支援情報や先読み情報の提供などを扱っています。導入の判断では、本線の走行だけでなく、物流拠点への出入り、車両の受け渡し、積み下ろし、運行を継続できない場合の対応を含めて確認する必要があります。

ラストワンマイル配送

2023年4月1日施行の改正道路交通法により、一定の大きさや構造の要件を満たす自動配送ロボットは「遠隔操作型小型車」として、届出制の下で歩道等を通行できるようになりました。最高速度6km/h以下という条件に加え、車体の要件や届出等も必要です。経済産業省の制度説明

歩道を使う配送ロボットと、車道を走行する自動運転トラックでは制度と運用条件が異なります。個別サービスの提供地域は事業者・自治体の最新発表で確認してください。

自動運転を支える技術

メーカーごとに機能や設計が異なるため、センサーの数や処理装置の名称だけでは自動運転レベルや安全性を判断できません。

確認項目 具体例 読み取る際の注意
周囲の認識 日産の次世代ProPILOT計画は次世代LiDARとAIを組み合わせる 開発試作車と市販車の仕様を区別する
位置・道路情報 Honda Legendの発売資料は高精度地図とGNSSの利用を説明する 地図を使うことだけで自動運転レベルは決まらない
運転者への引継ぎ Honda SENSING Eliteは操作要求への対応を求める 使用条件と運転者の役割を取扱説明書で確認する
道路側からの支援 新東名の実証では合流支援情報・先読み情報を提供する 車両単独の機能とインフラに依存する機能を区別する

出典:日産の開発計画Honda Legend発売資料経済産業省の新東名実証資料

2030年の展望

普及を見通すための確認項目

2030年の市場規模や新車への搭載率を予測するには、対象を運転支援・個人向け自動運転・配車サービスのどれにするかを揃える必要があります。公表された開発予定から、市場規模や採算が自動的に決まるわけではありません。

編集部では、事業者や自治体が今後の導入を判断する際の確認項目を次のように整理します。

  1. 許可・認可:対象車両と運行計画の手続がどこまで完了しているか。
  2. 運行条件の拡大:雨天・夜間・複雑な道路など、実際に使える範囲が広がっているか。
  3. 需要と継続性:実証参加者だけでなく、日常的に利用する人や荷主がいるか。
  4. 運営費用:監視・整備・現場対応を含む費用が、継続可能な範囲に収まるか。
  5. 安全の検証:走行距離だけでなく、条件と比較基準を揃えた事故・停止のデータが示されるか。

これらは導入を検討するための視点であり、特定年度の普及率や投資収益を保証する予測ではありません。

FAQ

Q1. 自動運転車は本当に安全ですか?

Waymoは2026年3月までの運転者なしの走行2億2,060万マイルについて、人間の運転の比較基準に対し重傷以上の衝突が94%少なかったと公表しています。ただし、同社が運行する地域・条件のデータであり、すべての自動運転車や日本の道路にそのまま当てはまるものではありません。対象条件と比較方法を確認する必要があります。

出典:Waymo Safety Impact

Q2. 自動運転車はいつ買えるようになりますか?

運転支援機能を搭載した車は販売されていますが、ハンズオフ機能とLevel 3の自動運転は異なります。Hondaは2021年にLevel 3機能を備えたLegendを限定100台のリース専用として発売しました。2025年発売のAccord Honda SENSING 360+は運転支援です。現在購入できる車種、国内で使える機能、作動条件はメーカーと販売店に確認してください。Level 4の個人向け販売時期を一律には示せません。

出典:Honda Legend発売資料Honda Accord発売資料

Q3. 自動運転でタクシードライバーは失業しますか?

雇用への影響を一律の時期や人数で示すことはできません。運行地域や需要、導入規模によって異なります。特定自動運行では、運転者を車内に置かない場合も、主任者の配置や事故時の対応などの業務が必要です。運転業務だけでなく運営全体の役割を確認する必要があります。

出典:警察庁の許可制度概要

Q4. 日本の自動運転は海外に比べて遅れていますか?

比較する分野によって異なります。日本にはLevel 3への制度対応や特定自動運行の許可制度があり、海外にはWaymoの運転者なしの走行実績があります。制度、実際に使える地域、一般客の利用可否、安全データを同じ条件で比較する必要があり、日本全体が何年遅れていると一律には言えません。

出典:警察庁Waymo Safety Impact

Q5. 自動運転車の保険はどうなりますか?

対象車両、運行形態、事故の種類、契約条件によって確認が必要です。車両や第三者への損害、システムの不具合、運行を継続できない場合など、想定する事象が補償に含まれるかを保険会社や運行事業者に確認してください。自動運転レベルだけでは補償範囲は決まりません。

まとめ

主要各社の公表資料を、次のように区別して読むと現状を把握しやすくなります。

  • トヨタ:Woven Cityでの実証と、Waymoとの協業の枠組み。
  • ホンダ:LegendでのLevel 3搭載実績と、Accordの運転支援機能。
  • 日産:LiDARとAIを組み合わせる次世代ProPILOTの2027年度投入計画。
  • 海外・サービス事業:Waymoの条件を限定した走行実績、Teslaの監視を要する運転支援、GM/Cruiseの開発方針変更。

導入時は、発表時の構想だけでなく、発売・許可・実際の運行条件まで確認することが重要です。自社の利用地域や業務に合うかを、機能、安全、運営体制、費用の順に具体化して判断してください。

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