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n=7だったので、分布を出さないことにした — HIDDEN VALUEの公開基準

自己申告と実測のギャップを測定するHIDDEN VALUEでは、対応データが7名・10スナップショットしか集まっていない。自社で定めた公開基準(母数n≥30)を大きく下回るため、軸別ギャップの分布は今回公開しない。数値が出せないという事実を隠さず示すこと自体が、測定倫理の一部だと考えている。

目次


結論

自己診断の多くは「本人がどう答えたか」しか測っていない。HIDDEN VALUE(shindan.ai-media.co.jp)は、本人の自己申告(self)に加えて、文章解析や外部連携から得た実測(observed)を突き合わせ、その差分を「自己認識のギャップ」として扱う設計を採っている。ただし現時点のD1データでは、内面8軸について自己申告と実測の両方が揃っている対応データは7名・10スナップショットしかなく、あらかじめ定めた公開基準(母数n>=30)を大きく下回る。そのため、軸別ギャップの分布(中央値・四分位・過大評価/過小評価の割合)は今回公開しない。本稿は、その分布データの代わりに、測定方法・公開可否をどう判定しているか・現状のデータ量そのものを示す。数値が出せないという事実を隠さずに書くこと自体が、この基準の運用が機能している証拠だと考えている。(出典: HIDDEN VALUE内部データ〈D1、subjects/snapshots集計〉、2026年8月時点の編集部集計)

測定方法

  • 自己申告(self): 診断フォームでの30問の回答から算出した内面8軸(COM/DEC/EMO/SOC/THK/VAL/GRW/STR)の値(スケール1〜4)。
  • 実測(observed): 以下いずれかの経路で取得した内面8軸の推定値。
    1. 本人が入力した文章(仕事の文章・GitHub/Qiita/Zenn/note等の公開活動)をVertex AIによる解析にかけた推定値。
    2. 外部連携(GitHub/GitLab/Backlog/ChatWork OAuth)から取得した活動実績を能力軸に反映したもの(内面8軸には直接対応しない経路もある)。
  • ギャップ: 実測値マイナス自己申告値。軸ごとに算出可能。
  • 対応データの定義: 自己申告と実測の両方が非NULLであるスナップショットのみを、ギャップ集計上の対応データとして数える。片方のみのデータは分母から除外する。

実測は「客観的な真実」ではなく、文章解析または外部ツールの活動実績から推定した値であることに注意が必要である。取得経路(文章解析かGitHub等の活動実績か)が違えば、同じ「観測」でも意味が異なる。また一部の実測値は文体の偏りを補正した相対値であり、絶対値としての単純比較はできない。

匿名化・公開基準

HIDDEN VALUEのD1データ(subjects/snapshots/feedback等)を用いて外部公開(note・LP・レポート等)目的の集計・分析を行う場合、以下の基準を適用している。個票の直接公開は基準の対象外であり、常に禁止である。

  1. セル最小n: 集計表1セル(軸×区分等の交差点)がn>=10を満たさない場合、そのセルは非公開または上位カテゴリへの統合対象とする。「参考値」等の注記付きでの公開も禁止する(注記があっても逆算リスクは残るため)。
  2. 母数n>=30が分布公開の下限: 母数(分析対象n)が30未満の場合、分布の代表値(中央値・四分位・パーセンテージ)は公開せず、「統計として公開に耐えない」旨と、公開に必要な追加データの見込みのみを示す骨子版とする。30という数字自体に統計的根拠はなく、保守的な下限として置いている。
  3. 個人逆算可能な組合せの禁止: 属性を複数組み合わせて絞り込んだ結果、該当者が実質的に1〜数名に特定できる集計は、n>=10であっても公開しない。内部関係者(自社ドメイン登録者)と外部利用者を分けて出す場合も、少数側(目安10名未満)の集計は出さない。
  4. 要約統計のみ・個票禁止: 公開できるのは中央値・四分位範囲・割合などの要約統計に限る。個票(1人1行の生データ)は社内資料であっても添付しない。
  5. 信頼性の根拠が確認できた軸のみ公開: 軸ごとのギャップを公開する場合、その軸についてICC等の信頼性指標が確認され、かつ信頼性0.50以上であることを条件とする。信頼性が未確認、または0.50未満と判明している軸は、n数を満たしていても公開対象から除外し、除外理由を明記する。

出典: 上記の基準はHIDDEN VALUE運用チームが内部データ〈D1〉の匿名化リスクを踏まえて自社策定したものであり、外部の統計ガイドラインからの引用ではない

これらの基準は、集計時に必ず総n・セルごとのnを記録し、抵触する内容はドラフト段階で「非公開」または「骨子のみ」に置き換え、status: draftと要確認事項を明記したうえで人間(長谷川)のレビュー・承認を経てから公開する、という運用プロセスの一部として定めている。

現状のデータ量と、なぜ今回は分布を出さないか

分布(中央値・四分位・割合)そのものは非公開。代わりに、現状の母数のみを示す。

区分 件数
総登録者(subjects) 24名
うち自社ドメイン(orenda.co.jp) 16名
うち外部(gmail.com等) 7名+不明1名
総スナップショット(snapshots) 53件
スナップショットを持つ登録者 22名
自己申告(dims)のみ存在するスナップショット 37件
実測(dims_observed)のみ存在するスナップショット 12件
自己申告×実測の両方が対応するスナップショット 10件(7名)
うち自社ドメイン由来 8件相当
うち外部由来 2件相当
能力軸(capability_self×capability_observed)の対応データ 3名
測定期間 2026-07-09 〜 2026-08-01(約3.5週間)

出典: HIDDEN VALUE D1データベース内部集計、2026年8月時点

この対応n=7・10スナップショットは、上記基準の母数下限(n>=30)を大きく下回り、セル最小n(>=10)も満たさない。加えて、対応データ7名のうち5名(71%)が自社ドメインからの登録者で、外部利用者は2名にとどまる。この偏りは、仮にn=30に達したとしても「自己申告と実測のギャップ」を利用者一般に対して語れない、より本質的な理由になる。(出典: 同上、HIDDEN VALUE D1データベース内部集計)

軸の信頼性についても、過去のICC再計算(本データとは別の小規模検証、n=6)では、内面8軸中COM(コミュニケーション)・DEC(意思決定)・SOC(社会性)・GRW(成長)の4軸で信頼性0.50未満だった。この結果はサンプルが小さく確定的な判定ではないが、軸単位の値を「本人の傾向」として公開するには、信頼性を再評価してからにする必要がある。

解釈と誤読への注意

「n=7」は集計不能の理由であり、「7人分ならギャップの傾向が見えた」という意味ではない。7人という数では、個人差なのか測定誤差なのか、対応データが偏って集まった結果(自社関係者が多い)なのかを区別できない。(出典: 同上)

今後n>=30に達した場合でも、信頼性0.50以上を満たさない軸は公開対象から外す。信頼性が未確認の軸を、母数だけ満たしたからといって公開しない。

自社ドメイン登録者が対応データの過半を占める現状で分布を出すと、「自社の実測ギャップ」を「HIDDEN VALUEの利用者一般のギャップ」として誤読されるリスクが高い。この偏りが解消されない限り、外部一般化を主張する文言は使わない方針である。

まとめ

現状のD1データ(自己申告×実測の対応n=7名・10スナップショット)は、自社で定めた匿名化・公開基準の母数下限(n>=30)を大きく下回るため、軸別ギャップの分布は公開しない。本稿は分布データの代わりに、測定方法・公開判定の基準・現状のデータ量を示す骨子版として書いた。次のアクションは、(1)外部利用者からの対応データを増やす、(2)軸別信頼性(ICC)をより大きいnで再評価する、(3)利用規約側の集計利用条項を確認する、の3点であり、これらが満たされた時点で本基準に沿って改めて分布を公開するかどうかを判断する。(出典: 同上、HIDDEN VALUE D1データベース内部集計)

自己申告だけでなく実測との差分を扱う設計そのものについては、診断ツール HIDDEN VALUE で確認できる。

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