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採用ソフトが年齢で応募者を自動的に落としていた件を米当局はどう見たか

米EEOCの公式発表をもとに、採用ソフトが年齢を理由に応募者を自動的に除外していた事例と、そこで何が問われたかを一次資料から確認する。

米雇用機会均等委員会(EEOC)は、採用ソフトウェアによる年齢差別を理由とする訴訟の和解を公式に発表した。この記事では、EEOCの公式発表(一次資料)だけを根拠に、何が起きて何が是正されたかを確認する。

この記事で分かること

  • 採用ソフトがどのような基準で応募者を自動的に除外していたとされるか
  • 和解によって何が支払われ、どのような再発防止が義務づけられたか
  • EEOCがどのような立場でこの問題を評価したか

この記事で分からないこと(正直に書く)

  • 除外の基準がソフトウェアのどの部分にどう実装されていたかという技術的な詳細
  • 和解後にEEOCが実際にどこまで監視を行ったかという経過(公式発表の時点では今後の予定として記載されている)

何が起きたか

中国向けに英語チュータリングサービスを提供するiTutorGroup(iTutorGroup, Inc.、Shanghai Ping’An Intelligent Education Technology Co., Ltd.、Tutor Group Limitedの3社で構成)は、米国に拠点を置く講師をリモートで採用していた。EEOCの発表によれば、同社は応募用ソフトウェアを、女性は55歳以上、男性は60歳以上の応募者を自動的に不合格にするようプログラムしていたとされる。この基準により、米国拠点の資格を満たした200人超の応募者が年齢を理由に不合格となったとEEOCは主張している(出所: EEOC公式プレスリリース「iTutorGroup to Pay $365,000 to Settle EEOC Discriminatory Hiring Suit」、https://www.eeoc.gov/newsroom/itutorgroup-pay-365000-settle-eeoc-discriminatory-hiring-suit 、確認日2026-09-06)。

EEOCはこの行為が年齢差別禁止法(ADEA)に違反するとして、EEOC v. iTutorGroup, Inc., et al.(Civil Action No. 1:22-cv-02565)として提訴した。和解合意により、iTutorGroupは365,000ドルを支払うことで合意した(出所: 同上、確認日2026-09-06)。

一次資料は何と言っているか

EEOCの公式発表は、和解の内容を金銭面と非金銭面の両方で記している。金銭面では365,000ドルが不合格とされた応募者に分配される。非金銭面では、iTutorGroupは米国での採用を既に停止しているとしつつ、再開する場合に備えて継続的な研修の実施、新しい差別禁止方針の策定、年齢や性別を理由とする差別的な採用や生年月日の要求を禁じる差止め命令の順守が義務づけられ、EEOCは少なくとも今後5年間その遵守を監視するとしている(出所: 同上、確認日2026-09-06)。EEOCのニューヨーク地区事務所の担当者は「差別の禁止は国境で止まらない」「完全リモートの働き方であっても、企業が労働の仕方を厳密に管理している場合、その労働者は連邦の差別禁止法の保護対象となる」とコメントしている(出所: 同上、確認日2026-09-06)。

どこで防げたか

防止点は、選考基準を自動化する際に、その基準自体が保護属性(この場合は年齢)を直接の判定条件にしていないかを稼働前に確認する工程があったかという点である。EEOCの主張が示すのは、性別ごとに異なる年齢の閾値(女性55歳、男性60歳)という、年齢と性別の組み合わせが判定式の条件として存在していたとされる構造であり、統計的な副作用ではなくルール設計の問題として扱われている。もう一つの防止点は、是正措置として課された「継続的な研修」と「新しい方針」で、EEOCはこれを稼働後の恒常的な確認体制として位置づけている(出所: 同上、確認日2026-09-06)。

自社製品に当てはめるなら何を検査するか

自動選考や自動判定を行う仕組みに置き換えると、検査点は2つに整理できる。1つは、判定ロジックの条件に年齢・性別・国籍など保護属性やその代理変数(生年月日の必須入力など)が組み込まれていないかを、リリース前にコードレベルで確認すること。もう1つは、稼働後も判定結果を属性別に集計し、偏りが生じていないかを継続的に確認する体制を運用として組み込むことである。

生成AIが実在しない判例を裁判所に提出した事例はAviancaの記事、AIによる与信判断への性差別疑惑を規制当局がどう調べたかはApple Cardの記事を参照してほしい。AIチャットボットが想定外の出力をした別の事例はエアカナダ・Tayの記事も参照してほしい。

自社のプロダクトで自動判定・自動選考の仕組みを検査する体制について相談したい場合は、お問い合わせから編集部まで連絡してほしい。

よくある質問

Q1. 何を基準に応募者が自動的に不合格にされたとされるのか

EEOCの主張によれば、採用ソフトは女性は55歳以上、男性は60歳以上の応募者を自動的に不合格にするようプログラムされていたとされる。

Q2. 何人の応募者が影響を受けたとされるのか

EEOCは、米国拠点の資格を満たした200人超の応募者が、この基準により年齢を理由に不合格となったと主張している。

Q3. 和解でいくら支払われることになったのか

iTutorGroupは365,000ドルを支払うことで合意し、この金額は自動的に不合格とされた応募者に分配される。

Q4. 金銭の支払い以外にどのような是正措置が課されたか

採用担当者への継続的な研修の実施、新しい差別禁止方針の策定、年齢や性別を理由とする差別的な採用や生年月日の要求を禁じる差止め命令の順守が義務づけられ、EEOCが少なくとも5年間その遵守を監視するとされている。

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