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生成AIと著作権の扱い|学習・生成・利用の段階で分けて考える

文化庁は「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」で関係する条文が違うため分けて考える必要があるとしている。本稿は公式資料が示す整理をそのまま紹介する。

この記事で分かること/分からないこと

  • 分かること: 文化庁が示す「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」を分ける考え方
  • 分かること: 著作権法第30条の4が学習段階でどのように位置づけられているか
  • 分かること: 生成・利用段階での著作権侵害が「類似性」「依拠性」で判断されるという整理
  • 分からないこと: 個別の生成AIサービス・個別の作品が実際に侵害にあたるかどうかの判断(本稿では扱わない)

編集部は法律の専門家ではなく、本記事は法的な助言ではない。個別の事案の適法性については、弁護士等の専門家に確認してほしい。

文化庁は「学習段階」と「生成・利用段階」を分けて考えるとしている

文化審議会著作権分科会法制度小委員会は2024年3月15日、「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめた(出所: 文化庁 概要資料 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html、確認日2026-09-06)。この資料は、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」とでは行われている著作物の利用行為が異なり、関係する著作権法の条文も異なるため、両者を分けて考える必要があるとしている。さらに、AI生成物が「著作物」に当たるかという点も、別の問題として扱うとしている(出所: 前掲資料、確認日2026-09-06)。

学習段階は著作権法第30条の4が原則の入り口

学習段階については、著作物に表現された思想または感情の「享受」を目的としない利用行為(非享受目的の利用行為)は、原則として著作権者の許諾なく行うことが可能とされている(著作権法第30条の4、平成30年改正)。同資料は、AIの学習データとして著作物を収集・複製する行為を非享受目的の例として挙げている。ただし、享受を目的とする行為や、享受する目的が併存する場合には同条は適用されないとし、意図的に特定のクリエイターの創作的表現が共通する作品群を狙って追加学習を行うような場合は、この「非享受目的」の要件を満たさないと考えられるとしている(出所: 前掲資料、確認日2026-09-06)。また、著作権者の利益を不当に害することとなる場合も同条は適用されないとしている。

生成・利用段階は通常の著作権侵害と同じ基準で判断される

生成・利用段階については、AIを利用して生成した画像等を公表・販売する場合、通常の著作権侵害と同様に、既存の著作物との「類似性」(創作的表現が共通していること)と「依拠性」(既存の著作物をもとに創作したこと)の両方が認められ、かつ権利制限規定の対象外である場合に著作権侵害となるとされている。同資料は、生成AIの学習データに既存の著作物が含まれていたことが立証できる場合、AI利用者がその著作物を認識していなくても、通常は依拠性があったと推認されるとしている(出所: 前掲資料、確認日2026-09-06)。侵害が生じた場合、権利者は差止請求や、一定の場合にはAI開発事業者に対する学習用データセットからの除去請求が可能とされている。

AI生成物が「著作物」かどうかは、また別の問題

同資料は、人が何ら指示を与えず、あるいは簡単な指示にとどめて生成ボタンを押しただけのものは、著作物に該当しないと考えられるとしている。一方で、人が思想または感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したと認められれば著作物に該当し、AI利用者が著作者となるとしている。この判断は、指示の具体性や、生成物を確認しながら指示・入力を修正して試行を重ねたかどうかなど、「創作的寄与」がどの程度積み重なっているかを個別に見て判断されるとしている(出所: 前掲資料、確認日2026-09-06)。この著作物性の問題は、「AI生成物が著作権侵害にあたるか」という問題とは別個の問題である点も、同資料は明記している。

学習段階での著作物の扱いは、生成AIに何を入力してよいかという線引きの論点とも隣接する。生成AIに入力してよい情報の線引きの記事で扱っている。個人情報と生成AIの関係を扱った記事は個人情報と生成AIの記事を参照してほしい。AIガバナンス設計について相談したい方は、お問い合わせから編集部までご連絡いただきたい。

よくある質問

Q1. 文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」はいつ取りまとめられたか

文化審議会著作権分科会法制度小委員会が2024年3月15日に取りまとめた。現行の著作権法がAIとの関係でどう適用されるかについて、その時点での考え方を示したものである。

Q2. なぜ「学習段階」と「生成・利用段階」を分けて考える必要があるのか

両段階で行われている著作物の利用行為が異なり、関係する著作権法の条文も異なるためと説明されている。学習段階は主に著作権法第30条の4、生成・利用段階は通常の著作権侵害の判断基準が関係する。

Q3. 生成・利用段階で著作権侵害となるのはどのような場合か

既存の著作物との「類似性」(創作的表現が共通していること)と「依拠性」(既存の著作物をもとに創作したこと)の両方が認められ、かつ権利制限規定の対象外である場合とされている。

Q4. AI生成物は著作物になるのか

場合による。人が何ら指示を与えずボタンを押しただけのものは著作物に該当しないと考えられる一方、人が創作的表現のための道具としてAIを使用し、創作的寄与が認められれば著作物に該当するとされている。

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