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EU AI Actと日本企業|義務の発効時期は1つではなく4段階ある

EU AI Actは「2026年8月に施行」という1点の理解だけでは足りない。第113条は、禁止行為・汎用AIモデル関連義務・大半の義務・製品組み込み型の義務を、別々の日付で適用開始としている。

この記事で分かること/分からないこと

  • 分かること: EU AI Act(規則2024/1689)第113条が定める、義務の適用開始日が4段階に分かれている構造
  • 分かること: それぞれの段階にどの章(チャプター)の義務が対応しているか
  • 分からないこと: 個別の自社AIシステムがどの章の義務の対象になるかという分類の当てはめ(本稿では扱わない)
  • 分からないこと: 域外適用の詳細な要件や、日本企業が取るべき具体的な対応策(本稿では扱わない)

編集部は法律の専門家ではなく、本記事は法的な助言ではない。リスク分類の全体像や日本企業への一般的な影響はEU AI Act施行、日本企業への影響と対応策の記事で扱っている。本稿はその記事と重複しないよう、義務の発効時期という一点に絞る。

発効日は1つではなく、条文上4段階に分かれている

EU AI Act(Regulation (EU) 2024/1689)第113条「Entry into force and application」は、規則が公布の20日後に発効するとした上で、原則として2026年8月2日から適用する(It shall apply from 2 August 2026)としつつ、3つの例外を定めている(出所: EUR-Lex 規則本文 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2024/1689/oj、確認日2026-09-06)。本稿執筆時点の2026年9月6日では、原則の適用開始日はすでに1か月あまり前に過ぎている。

2025年2月2日:禁止AI慣行が先行して適用開始

第113条は、Chapter I(GENERAL PROVISIONS、総則)とChapter II(PROHIBITED AI PRACTICES、禁止AI慣行)を2025年2月2日から適用するとしている。Chapter IIには、禁止対象となるAI慣行を定めるArticle 5が含まれる。この段階はすでに1年半以上前に発効済みである(出所: 前掲規則本文 第113条、確認日2026-09-06)。

2025年8月2日:汎用AIモデル・ガバナンス・罰則の一部が適用開始

同条は、Chapter III Section 4(notified bodiesに関する規定)、Chapter V(GENERAL-PURPOSE AI MODELS、汎用AIモデルに関する義務)、Chapter VII(GOVERNANCE、ガバナンス体制)、Chapter XII(PENALTIES、罰則)、およびArticle 78を、Article 101を除いて2025年8月2日から適用するとしている(出所: 前掲規則本文 第113条、確認日2026-09-06)。この段階もすでに1年あまり前に発効済みである。

2026年8月2日と2027年8月2日:本則と、さらに先の区分

例外に該当しない部分、すなわちChapter III(HIGH-RISK AI SYSTEMS)の大半やChapter IV(TRANSPARENCY OBLIGATIONS)を含む本則は、原則どおり2026年8月2日から適用される。この日付が規則全体としての主要な適用開始日である。さらに第113条は、Article 6(1)とそれに対応する義務を2027年8月2日からの適用としている。Article 6(1)は、Annex I記載のEU整合化法令(製品分野の規制)の対象となる製品の安全部品であるAIシステム等を高リスクAIシステムとして分類する規定であり、Annex IIIに基づく高リスクAIシステム(人事・与信・法執行等の用途分類)とは別区分として、適用開始が最も遅い(出所: 前掲規則本文 第6条・第113条、確認日2026-09-06)。

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よくある質問

Q1. EU AI Actの義務は1つの日付ですべて発効するのか

発効しない。第113条は、原則の適用開始日を2026年8月2日としつつ、2025年2月2日・2025年8月2日・2027年8月2日という3つの例外的な適用開始日を定めている。

Q2. 2026年9月時点で、すでに適用が始まっている部分はあるか

ある。2025年2月・2025年8月・2026年8月の3段階は、本稿執筆時点(2026-09-06)ですべて発効済みである。残るのは2027年8月2日からの段階のみである。

Q3. 2027年8月2日から適用される義務とは何か

Article 6(1)とそれに対応する義務である。Annex I記載の製品分野の規制対象製品の安全部品であるAIシステム等を高リスクAIシステムとして分類する規定で、Annex IIIに基づく区分とは別のものである。

Q4. この記事はEU AI Actのリスク分類全体を解説しているか

していない。リスク分類の全体像や日本企業への一般的な影響については、既存記事「EU AI Act施行、日本企業への影響と対応策」を参照してほしい。本稿は義務の発効時期という一点に絞って整理したものである。

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