この記事で分かること/分からないこと
- 分かること: 「引かれない文書」が費用に関わる3つの場面(ビルド・保管・索引)
- 分かること: 自社の単位経済(ビルド時コスト・実行時コスト)から見た費用の構造
- 分からないこと: 文書を削除した場合にコストが何%下がるか(自社に削減効果の実測が無い)
- 分からないこと: どの文書を「不要」と判定すべきかの具体的な閾値
「引かれない文書」とは何を指すか
RAGの構築では、検索対象として投入した文書のうち、実際に検索でヒットしたことも、回答の根拠として使われたこともない文書が発生する。これは投入時点では判別できず、運用を始めて検索ログや根拠提示のログを一定期間ためて初めて見えてくる。ログを取っていなければ、そもそも「引かれていない文書がある」という事実自体に気づけない。
費用が発生する3つの場面
引かれない文書であっても、少なくとも3つの場面で費用に関わる。
1つ目はビルド時である。自社の単位経済では、生成と検証を合わせたビルド時コストは1テナントあたり概算¥1,500(一回)とされている(出所: docs/STORAGE_AND_BILLING.md、確認日2026-09-06)。この作業は投入した文書全体を対象に行われるため、後から見て引かれなかった文書についても、ビルド時点では他の文書と同様に生成・検証の対象になっている。
2つ目は保管である。投入した原本や生成物は容量の大きいストレージ(R2)に置く設計になっており、実行時に毎回読む対象ではない(出所: docs/STORAGE_AND_BILLING.md、確認日2026-09-06)。実行時のコストには直結しない一方で、置き続ける限り保管の対象であり続ける。
3つ目は索引である。確定配信のために実行時に毎回参照する索引は、軽量・低レイテンシであることを前提に設計されている(同出所)。引かれない文書由来のエントリが索引に混じっていれば、索引の中身は本来必要な分より大きくなる。ただし、これによって実行時コストが具体的にどれだけ変わるかについては、自社に測定値が無い。
「引かれたかどうか」をどう記録するか
引かれない文書を把握するための前提は、検索・根拠提示のログを取ることである。どの文書が検索結果に含まれたか、どの文書が回答の根拠として実際に使われたかを分けて記録しなければ、「検索結果には出るが根拠には使われない文書」と「一度も検索結果に出ない文書」を区別できない。この2つは原因が異なり、前者は検索の設計、後者は文書自体の位置づけに関わる問題であるため、対応も分けて考える必要がある。
費用と便益のバランスをどう考えるか
引かれない文書を削除すればビルド・保管・索引の3つの場面で扱う対象は減るが、それによって費用がどの程度下がるかを示す実測値は自社に無い。したがって「削減できる」という数字は書けない。実務での考え方としては、削除そのものを目的化せず、次にビルドし直すタイミング(差分再構築の判断)に合わせて、一定期間まったく引かれていない文書を棚卸しの対象にする、という位置づけが現実的である。この棚卸しの頻度をどう決めるかは、再構築の頻度そのものの判断とも関わってくる。
よくある質問
Q1. 引かれない文書を残しておくと、実行時のコストは具体的にどれだけ増えますか
自社にその増分を示す実測値は無い。索引が本来より大きくなるという構造的な懸念はあるが、具体的な増加幅は測定していない。
Q2. 引かれない文書はビルド時のコストにどう関わりますか
ビルド時の生成・検証は投入した文書全体を対象に行われるため、後から見て引かれなかった文書についても、ビルド時点では同様に処理の対象になる。自社の単位経済ではビルド時コストは1テナントあたり概算¥1,500(出所: docs/STORAGE_AND_BILLING.md、確認日2026-09-06)とされている。
Q3. 「引かれない文書」はどうやって見つければよいですか
検索結果に含まれたか、回答の根拠として実際に使われたかを分けて記録するログが前提になる。ログが無ければ、そもそも引かれていない文書があるという事実自体に気づけない。
Q4. 引かれない文書は全て削除すべきですか
一律には言えない。自社に削減効果の実測が無いため、削除で費用がどれだけ下がるかは示せない。実務的には、削除を目的化せず、再構築のタイミングに合わせた棚卸しの対象にする考え方が現実的である。
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