この記事で分かること/分からないこと
- 分かること: 「出す基準」と「止める基準」が別物である理由
- 分かること: 前向きのゲートと撤退条件の違い
- 分からないこと: 撤退条件を発動するタイミングの一律の正解
- 分からないこと: 自社が今後この非対称をどう埋めるか
「出す基準」と「止める基準」は別物
RAG導入の合格基準(公開前ゲート)は「基準を満たしていないものを出さない」という前向きの基準である。撤退条件は「出したものをどうなったら止めるか」という基準であり、両者は別物である。ゲートを持つことは撤退条件を持つことを意味しない。
自社が持っている基準
自社は、hit率91%を下回る対象が無いこと、致命的な失敗が無いことを条件にした前向きのゲートを持っている(出所: services/verifier/out/ucaro-verification.json、確認日2026-09-06)。公開してよいかを判断する材料として機能している。
自社が持っていない基準
一方で、稼働後に何が起きたら止めるか、という撤退条件は明文化されていない。「基準を満たさなければ公開しない」という前向きのルールはあっても、「稼働後に基準を下回ったら止める」という逆方向のルールは言語化されていない。この非対称を、自社の現状としてそのまま書いておく。
この非対称の何が問題か
止める条件を決めないまま稼働に入ると、判断があらかじめ決めたルールではなく、その場に居合わせた人の裁量に委ねられる。判断が遅れる、判断者によって結論が変わる、という状態を招きやすい。公開前ゲートの厳しさと止める基準の有無が釣り合っていない状態は、公開前だけを慎重にして稼働後を無防備にしているのと同じ意味を持つ。
撤退条件を先に決めておく、という考え方
撤退条件は、稼働後に問題が起きてから決めるのではなく、公開前ゲートの基準を決めるのと同じタイミングであらかじめ決めておくべきものである。たとえば「ゲートのhit率基準を稼働後に下回ったら止める」というように、公開前の基準を転用する考え方も選択肢の一つになる。ただし、これは自社が現時点で実施している運用ではなく、非対称を埋める考え方として書いている。
よくある質問
Q1. 撤退条件と合格基準(公開前ゲート)は同じものか
別物である。合格基準は「満たさなければ出さない」という前向きの基準であり、撤退条件は「出した後どうなったら止めるか」という基準を指す。
Q2. 自社は撤退条件を明文化しているか
していない。公開前ゲート(hit率91%基準、出所: services/verifier/out/ucaro-verification.json、確認日2026-09-06)は持っているが、稼働後に止める条件は本稿の時点で言語化されていない。
Q3. 撤退条件が無いと何が起きるか
問題が起きたときの判断が、あらかじめ決めたルールではなく、その場に居合わせた人の裁量に委ねられやすくなる。判断が遅れる、判断する人によって結論が変わる、という状態を招きやすい。
Q4. 撤退条件はいつ決めるべきか
稼働後に問題が起きてから決めるのではなく、公開前ゲートの基準を決めるのと同じタイミングで、あらかじめ決めておくべきである。
ゲートの中身は合格基準の決め方の記事、「壊れた」への気づき方は運用体制の記事で扱う。検査の仕組みは公開前検査の記事を参照してほしい。撤退条件について相談したい方はお問い合わせから編集部までご連絡いただきたい。
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