自社プロダクト「弁護士みつかる」の弁護士ページ・判例ページが、人間のブラウザでは本文0字だった(出所: 自社の運用記録、確認日2026-09-06)。検索から一定の流入があるにもかかわらず登録につながらないことを不審に思い調査したが、最初の診断は誤っていた。
この記事で分かること
- なぜcurlで見た1,057字が、人間の体験の証拠にならなかったのか
- 誤った診断がどのように起きたか
- 実ブラウザでの確認をどう検査に加えたか
この記事で分からないこと(正直に書く)
- 白紙になっていた期間中、実際に何人の利用者が離脱したか
- 同種のbot出し分けを行っている他のページに、まだ見えていない問題が残っているか
何をしたか: 流入はあるのに登録が少ない原因をcurlで調べた
弁護士ページ・判例ページへの流入はあるのに登録につながらないという状況があり、その原因をcurlでページを取得して調べた。取得できたHTMLは1,057字あり、行動を促す要素が1つも無いという結果だった(出所: 自社の運用記録、確認日2026-09-06)。この結果から、文言や構成の改善で対応できる問題だと判断した。
何が起きたか: 人間には本文が0字だった
実際には、そのページを配信する仕組みがアクセスしてきた相手のUAによって異なるHTMLを組み立てて返す構成になっていた。検索エンジンのbotには正常なHTMLが返っていた一方、人間のブラウザで開くと、必要なデータが欠けたままフロントエンドの処理がその欠落を無防備に読み、本文が丸ごと描画されない状態(0字)になっていた(出所: 自社の運用記録、確認日2026-09-06)。curlで取得した1,057字は、bot向けに別途組み立てられたHTMLであり、人間が実際に見ていたものではなかった。
なぜ気づけなかったか: curlは人間の体験の証拠にならない
検索順位はbotに正常なHTMLが返るため落ちない。落ちるのはコンバージョンだけであり、その現れ方は「製品の訴求が弱い」という別の問題に見えてしまう。今回、curlの結果を人間の体験の証拠として扱い「CTAが無いから」と診断したが、bot出し分けを行うサイトでは、curlの出力そのものが人間の見ているものと違うため、この診断方法自体が誤りだった(出所: 自社の運用記録、確認日2026-09-06)。3ヶ月以上、誰も実ブラウザで開いて確認していなかった。
どう直したか: 実ブラウザで開いて確認する検査に切り替えた
2026年9月、bot出し分けを行うページの健全性を確認する際は、実ブラウザで開いて本文の文字数と画面表示中のエラーの有無を見る検査に切り替えた。curlの結果だけを見て「表示できている」と判断する運用をやめ、コンバージョンが不自然に低いページについては、施策を考える前にまず実ブラウザで開く順序にした(出所: 自社の運用記録、確認日2026-09-06)。
再発防止: 診断の道具そのものを疑う
何を検査に書けば次は見つかるかという観点では、bot出し分けをしているサイトかどうかを先に確認し、していれば実ブラウザでの確認を検査から外さないことが効いた。UAによって出し分けを行う構成では、調査に使う道具がどちらの応答を見ているのかを常に意識する必要がある。
会員向け画面がデプロイから丸ごと消えていた事例は会員画面が消えていた話、問い合わせフォームが長期間死んでいた事例は問い合わせフォームが65日間405だった話にまとめている。監視の粒度の設計判断は、姉妹記事「監視の粒度を上げるほど費用になる理由」も参考にしてほしい。
自社のフロントエンド検証やbot出し分け構成の点検について相談したい場合は、お問い合わせから編集部まで連絡してほしい。
よくある質問
Q1. curlで確認した1,057字はどこから来ていたのか
ページを配信する仕組みがアクセス元のUAによって異なるHTMLを組み立てて返す構成になっており、1,057字は検索エンジンのbot向けに組み立てられたHTMLだった。人間のブラウザが受け取っていたものではない。
Q2. なぜ「CTAが無いから」という診断が誤りだったのか
curlの出力を人間の体験の証拠として扱ったためである。bot出し分けを行うサイトでは、curlが見ているものと人間が見ているものが異なるため、その前提での診断はそもそも成立しない。
Q3. 検索順位に影響は出ていたのか
出ていなかった。検索エンジンのbotには正常なHTMLが返っていたため順位は落ちず、落ちていたのはコンバージョンだけだった。
Q4. 再発防止のために何を検査に加えたか
bot出し分けを行っているページについては、実ブラウザで開いて本文の文字数と画面表示中のエラーの有無を確認する検査に切り替えた。curlの結果だけで表示状態を判断しないようにした。